イベントレポート

DIAMOND KIDS COLLEGE - ダイヤモンド・キッズ・カレッジ

2017年12月04日

リオ銀メダリスト参戦!!『第87回DKCin神戸』

【日時】2017年11月5日(日)
《小学校3年生~6年生のクラス》9:30~12:30
《小学校1年生~2年生のクラス》14:00~17:00
【場所】兵庫・デュオこうべ
【参加人数】
《小学校3年生~6年生のクラス》75人
《小学校1年生~2年生のクラス》72人

高田道場が主催する第87回目のダイヤモンドキッズカレッジ(DKC)は、JR神戸駅地下に広がるショッピング街デュオこうべで開催されました。8年連続8回目の開催です。

他のどの開催地とも異なる神戸ならではのロケーション、それは一般のお客さんも通る地下街での開催ということ。JR神戸駅の地下街「デュオこうべ」様の全面的なバックアップのおかげで、毎年この素晴らしい場所でキッズたちにレスリングの素晴らしさを伝えるイベントが開催できています。

マット設営からキッズたちの指導まできめ細かなサポートをしていただいたのは、猪名川高校、伊丹高校、六甲アイランド高校、須磨翔風高校、神戸高塚高校の各レスリング部の監督、コーチ、生徒の皆さんです。キッズたちのやる気とチャレンジ精神を引き出す優しくて情熱的な指導は大好評でした。

キッズ世代からの育成に熱心な地元・兵庫県のレスリング界からのサポートに加え、今回はリオデジャネイロ五輪レスリング男子グレコローマン59kg級で銀メダルを獲得した太田忍選手が参加してくださいました。DKCへの参加は去年の仙台大会以来、2度目となる太田選手は「今日は皆さんに少しでもレスリングが楽しいなと思ってもらえるように先生も頑張ります」と語り、その言葉通りレスリングの指導でキッズたちと触れ合っていました。さらにデモンストレーションでド迫力のスープレックスを披露して、キッズや道行く通行人の方々からも大歓声を受けていました。

この他にもDKCの理念にご賛同くださった地元企業の皆様の多大なるご協力があり、今回もイベントを開催することができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

今回のDKCにレスリングはサッカーや野球といったメジャーで裾野の広いスポーツと異なり、なかなか習うチャンスが少ないスポーツです。今回のDKCのに参加した子供たちも、ほとんどがレスリング初体験。中にはお父さん、お母さんに連れてこられた乗り気じゃない子も何人かいます。

「今日は運動が苦手な子も、運動が嫌いな子もみんな同じ気持ちで楽しめるそんな時間をいまから3時間いっしょに過ごしましょう」

高田先生がキッズたちに呼びかけます。さらにDKCで守ってもらう2つの約束について説明しました。

「今日は最後にここにいる強い先生たちと、レスリングの試合で真剣勝負をしてもらいます。これから言う2つの約束が守れないと、いい試合ができません! ひとつめ、大きな声で挨拶します。ふたつめ、下手でもいいから力いっぱい全力でやること」

これは高田先生がDKCに集まってくれたキッズたちと必ずかわす約束です。運動だけでなく礼儀も大切にしています。そして家に帰って、お腹いっぱいご飯を食べて、質の良い睡眠を取るために全力で挑むことの重要性は、高田先生が繰り返し訴えていることです。

「ジャンプをする場面がありますが、(高さ10メートル以上ある)あの天井に届くぐらい高くジャンプしてください。ダッシュをするときは絶対に新幹線よりも早く走ってください。そういう気持ちで挑んでください」

高田先生からの冗談とも本気ともとれるメッセージに笑顔を見せているキッズたち。運動が始まると表情は一変して真剣そのものになります。

まずは向井亜紀先生考案のお掃除体操からスタート。「♪カーテン開けて、窓開けて」とお掃除の要領でダンスをしながら、全身をくまなく動かします。向井先生のエネルギッシュなダンスに合わせて、子供たちも先生の動きをまねてダンシング! 会場には時折、11月の冷たい浜風が吹き抜けていきますが早くも熱気が立ち込めます。

ここからはマット上の運動です。まずは裸足でダッシュ。足の裏からダイレクトに刺激が伝わり、脳を活性化します。続いて雑巾がけ。じつは雑巾がけは体幹強化に効果が高く、トレーニングに取り入れている学校は徒競走の平均スピードもアップしているという実績があります。バランスを崩したり転んだりしながらも懸命に雑巾がけをするキッズたちの姿に大人たちが胸を熱くしていると、向井先生から「大人の人もやってみませんか?」とお誘いの声がかかります。

スタッフや参加しているキッズの父兄さんもランダムで指名されて一斉に雑巾がけをしてみたところ、ズバリ言って子供たちよりも下手! 足がもつれて転んだり、全然前に進まなかったりと散々な結果でした。こんなはずじゃないのになという表情の大人たちを子供たちはニコニコしながら見守っています。

「子供たちがどれだけずごいことをやっているか、おわかりいただけたと思います。大人にはできないことを子供たちはやっているので、今日は家に帰ったら褒めてあげてください。『なんであれができないの?』と言うのはなしでお願いします」

向井先生は保護者に向かって訴えます。

次は熊歩きです。両手両足を使ってマットを這うように進む運動です。これもバランスと体幹の強さが求められる運動です。キッズたちは何度か繰り返すうちにスピードも上がり、バランスも良くなりました。高校生の先生たちがデモンストレーションで素早い動きを披露すると、キッズたちは感嘆の声を上げていました。

ここで一旦水分補給の休憩を挟みます。自分では平気だと思っていても、いつの間にか体内の水分は失われているもの。参加者全員にスポーツ飲料が配られました。

続いて行われたのは二人一組で行う運動です。

最初に行ったのは一人の子が両手を高く掲げて立ち、もう一人はその子のつま先と手の先に交互にタッチする運動でした。いわゆるスクワットの動作ですが、手を高く上げたりと全身をくまなく動かすのでかなりキツい動きになります。

続いては足ジャンケン。勝った方がグー、チョキ、パーの決まり手に応じて相手の周囲を周り、負けた方は片足立ちでバランス感覚を養います。休む間もなく続いて行われたのは、交互にジャンプする運動です。体重が軽い小学生でもこれはかなりきついようで、運動が終わった瞬間に精根尽き果ててマットに倒れ込む子がいたほど。学校の体育の授業よりもハードな内容を短時間で行なうDKCならではの光景です。

体力の回復が早いのも子供の特徴です。すかさずタオルを使った綱引きが行われました。これはレスリングに必要な引く力を養うのに最適です。高田先生もキッズたちの相手をして汗を流します。パワフルなキッズたちの綱引きに、大人の指導者たちはキツそうな表情に変わっていきます。

水分補給の短い休憩を挟んでからは、いよいよレスリングのトレーニングが始まります。まずは正しい構えから。足の幅が狭すぎても、広すぎても倒れてしまうという実演を高田道場の渥見祥先生と中野茂先生が実演します。

どんなに押されても倒れない強い構えを身につけたら、次はタックルを習います。相手の腰に自分のほっぺたをつけて、相手の膝の裏を両手で刈って、一気に体重をかけて倒します。このタックルの練習でキッズたちの目は俄然、キラキラと輝き始めます。何度も何度も先生にぶつかっていくキッズたちに対して、先生たちは体力を消耗して次第にヘトヘトになっていきます。

間違ったタックルをする子がいれば、全体練習を止めて瞬時に軌道修正も行ないます。倒すだけでなく、相手を抑え込んで1秒間フォールすれば勝ちになるというレスリングの正式なルールが教えられ、いよいよ先生たちとの試合開始!

子供たちにとって相手に全力でぶつかるという経験は、普段はやりたくてもなかなかできないものですが、この日は大人に向かって全力でぶつかっていきます。タックルで倒して、起き上がろうとする大人の肩を必死に押さえつけてフォールを奪いにいきます。違う先生と何人も試合をして、教わった技術で勝ちを重ねていくキッズたち。制限時間いっぱいまで目をキラキラ輝かせながら、繰り返し大人にぶつかっていきます。

「勢いが凄い。粘りが凄い。将来レスリングをやらせたい子たちがたくさんいるね!」とキッズたちに胸を貸した高田先生も舌を巻くほどの熱気で試合をしたキッズたち。「先生に勝てた人?」という向井先生の質問に全員が挙手をしました。始まる前は不安そうだった表情に自信が満ち溢れています。

最後は腕立て伏せ、ジャンプ、もも上げ、バタ足という補強運動を1分間でみっちりと行なうサーキットトレーニングで体力を残りの一滴まで絞り取って、すべての運動が終了しました。

高田先生は「今日はみんなと一緒にこの時間を過ごせてよかったなぁと思います。最初の約束を守って全力で取り組んだから、大人との試合に勝てたんです」とキッズたちに語りかけます。

子供たちからはこのイベントの感想でこんな声が上がりました。
「来年もまた来たいです!」
「全力が出せてよかったです」
「いろんなことをして自分に自信がついて楽しかったです」
「タックルで倒して抑え込んでも大人の先生に力で負けてしまう。でも、頑張りました」
「やる前はどうなるかわからなくて不安だったけど、終わってみたらもっとタックルをやりたかった」
みんないい表情を浮かべています。親に無理やり連れてこられた子も、最後にはレスリングを楽しんでくれたようで何よりです。

イベント終了時には誕生日を迎えた向井先生にサプライズでお祝いが行われました。参加者や観覧している方々も一緒にクラッカーを鳴らして祝福しました。感激の表情を浮かべた向井先生は「ありがとうございます! うれしい~。すごくたくさんの人におめでとうを言っていただきました。また来年、ここで年を取れるように頑張って行きたいと思います」と笑顔で挨拶しました。

午前と午後のイベントを無事に終え、DKC神戸大会は幕を閉じました。