イベントレポート

DIAMOND KIDS COLLEGE - ダイヤモンド・キッズ・カレッジ

2016年12月26日

記念すべき第80回DKC!in大宮

【日時】2016年11月20日(日)
《小学校3年生~6年生のクラス》9:30~12:30
《小学校1年生~2年生のクラス》14:00~17:00
【場所】埼玉・さいたま市立桜木小学校
【参加人数】
《小学校3年生~6年生のクラス》105人
《小学校1年生~2年生のクラス》115人

高田道場が主催する第80回目のダイヤモンドキッズカレッジ(DKC)は、埼玉県で10回目、桜木小学校では5回目の開催となりました。

さいたまでDKCが最も多く開催される背景には理由があります。それはレスリングの名門・埼玉栄中学・高等学校レスリング部による手厚いサポート態勢です。今回も当日朝からマット敷きなどの会場設営と撤収、キッズ指導で多大なるサポートをいただきました。

野口篤史監督率いるレスリング部は、2015年インターハイ優勝メンバーの八木海里選手、今年の世界ジュニア選手権女子44kg級で優勝した中村未優選手など男女ともに輝かしい実績を誇る高校3年生から中学1年生まで精鋭揃い。そんな実力者たちが子供たちと同じ目線でレスリングを楽しく教える姿は、見ていて非常に頼もしく、子供たちもどんどんレスリングの魅力に引き込まれて集中力が高まっていくようでした。

さらにこの日は浅井企画所属のお笑い芸人・森一弥先生も参加してくださいました。高校時代にレスリングで東京都1位という実績を誇る森先生も、高校時代にレスリングで野口監督率いる埼玉栄と対戦経験があるそうで、レスリングでつながる縁を感じずにはいられません。

「DKCはスポーツイベントなんですが、お話を聞くこともDKCです」そんな高田先生の言葉を目を見つめながら集中して聞き入るキッズたち。

「せっかく来たんだから、『来てよかったな』というイベントにしよう。2つだけ約束してください。1つ目は挨拶を元気よく大きな声でしましょう。2つ目はへたくそでもいいから最後まで全力でやること。その約束を守ってくれたら、先生たちと『レスリングの試合っぽいこと』をしてもらいます!」と高らかに宣言! はたして今回のキッズたちはどんな頑張りを見せてくれたのでしょうか?

まずは地元・さいたまで育った向井亜紀先生が考案した「おそうじ体操」で身体をほぐします。今回のDKCに参加した普段、高田道場に通うキッズたちが見本を見せてくれました。続いてマットの上を往復ダッシュします。ぞうきんがけは体幹と下半身を強化する目的で導入されています。膝を前に出してぞうきんがけをするのがポイントです。徒競走が早くなるのにも効果的と言われており、それだけ真剣にキッズたちも取り組んでいます。そんなキッズたちがフラフラとぞうきんがけをしている姿を笑ってみていた大人たちですが、いざ向井先生に指名されてやってみると子供以上にフラフラでした。子供たちがどれだけハードなことをしているか、大人は身をもって知ることになります。

体育の授業1時間よりもハードに肉体を使ったキッズたちは水分補給の短い休憩を挟んでから、2人1組で行う運動を行ないました。思い切りジャンプしたり、片足でバランスを取ったり、サイドステップを踏んだり、1回終わるごとに息を切らしている子供たち。そしてタオルを使って大人と綱引きを行ないます。引く力を10秒間フルに発揮して背筋を強化しました。「腰を低くして、思いっきり引っ張れよ!」という高田先生の檄にキッズたちは大いに張り切っていました。

再び水分補給の休憩を挟んでからは、レスリングのテクニックがレクチャーされます。

まずは構え。どんなに強い先生でも、構えが間違っていると実力を発揮できずに終わってしまいます。足の幅が広すぎたり、狭すぎたりすると簡単に倒れてしまいます。さらに、名門・鹿屋体育大学で器械体操をやっていた石郷先生は構えの状態で押されると、バック転4連発を決める見事なサプライズ!

「みんな、これやってください」と高田先生。
「ムリムリ!」と一斉にツッコミを入れるキッズたち。
「そうか。じゃあ、みんなはしっかり構えをやってください」という微笑ましいやり取りもありました。

続いてはタックルです。相手の腰に自分の頬を当てて、膝裏に手を回して引き寄せ、最後は相手に体重をかけて倒します。この基本動作を埼玉栄高校の横田先生(90kg)と、高田道場に通うリョウヘイくん(28kg)がぶつかったらどうなるのか? キッズたちと同体格のリョウヘイくんが、見事に巨漢の横田先生を倒すと大きな歓声が上がりました。基本ができていればどんな相手にも通用するということを目で見て実感したようです。

続いて、タックルしたら起き上がらないように押さえ込む練習、足と尻に付けたテープを奪ってスピードアップを図る練習など、いずれもレスリングに必要な要素をキッズたちは次々と身につけていきます。レスリングではタックルをした後、相手を抑え込まないとゾンビのように何度でも立ち上がってしまいます。中野先生のタックルを受けても何度も立ち上がっているうちに渥見先生はいつの間にかゾンビになってしまいました。ゾンビのマスクをかぶった渥見先生を見たキッズたちはもちろん爆笑です。そんなゾンビを中野先生が押さえ込みます。それを見たキッズたちは、同じように押さえ込みの練習をします。

キッズたちの吸収の早さに高田先生も「いい集中だね」と高評価。これは過去10回、DKCでキッズたちにレスリングの楽しさをレクチャーしてきた埼玉栄の指導の賜物でしょう。

そして、ついにメインイベントです。大人の先生とレスリングの試合で対戦します。実際のレスリングの試合と同じように相手の両肩を1秒間マットに付けたら勝ちとなるルールです。「1秒だったらできるかもしれない、というイメージを作ってみようよ」と呼びかける向井先生。「勝てるという自信のある子は?」の質問に、手を挙げたのは約半数。多くはないですが、その結果はどうだったのか。

いざ試合が始まると、キッズたちは全力で先生にぶつかっていきました。「お願いします!」「ありがとうございました!」元気な声がマットのあちこちから聞こえてきます。そして元気よくフォールを奪っていきます。「おお、いいぞ!」「もっと強く」と先生の声に煽られてキッズたちはさらにヒートアップしていきます。

時間いっぱいまで動き回ったキッズたちは「先生に勝った子、手を挙げて?」という質問に全員が挙手! 「パワーが有り余っている子は?」の質問にも多くの子たちが挙手しました。「先生に勝った子は自分に拍手だ! このままだとあと1時間は続けただろうな」と舌を巻きました。向井先生も「みんなは今日来た時とは別人になってるね」と、その成長に目を細めました。

それ以上に高田先生を驚かせたのは「最初の挨拶の時よりも、話を聞く姿勢がいいね」ということでした。疲れているはずなのにお話を聞く姿勢が、しっかりできています。「みんなが約束を守っってくれたから、いい時間になりました。あっという間の時間です。まだみんなとお別れしたくないというのが本音です」と感銘を受けた高田先生でした。

埼玉栄の男子キャプテンの八木海里選手は高田先生にうながされてマイクを持つと「楽しかったですか? けが人も出なくて良かったです。中学生も高校生もみんなのキラキラした目に刺激を受けたと思います。今日は勉強になったと思うので、1日ありがとうございました」と挨拶しました。女子キャプテンの中村未優選手も「3時間おつかれさまでした。皆さんが約束を守って笑顔でやってくれたので、私たちも楽しくたくさん刺激を受けました。この刺激を自分たちの糧にして、さらに皆さんにレスリングをたくさん知ってもらえたらうれしいです」と笑顔で挨拶しました。

なお、今回で長年、高田道場でキッズを指導してきた岩見谷智義先生、岩見谷千恵先生が最後のDKC参加となりました。高田道場の屋台骨を支え、DKCでも大活躍されてきたお二人です。キッズたちを愛し、キッズたちに愛されてきたお二人とのお別れはとても寂しいですが、これからの人生でさらなるご活躍を期待せずに入られません。長い間、本当におつかれさまでした。