イベントレポート

DIAMOND KIDS COLLEGE - ダイヤモンド・キッズ・カレッジ

2019年11月12日

『第102回DKC in 鹿島台』

【日時】2019年10月6日(日)13:00~16:00
【場所】宮城・鎌田記念ホール
【参加人数】145名


高田道場が主催する第102回目のダイヤモンドキッズカレッジ(DKC)は、宮城県で7年連続7回目、鹿島台では2度目の開催、鎌田記念ホールでは初めての開催となりました。今回も山形市立商業高等学校レスリング部、岩手県立盛岡工業高等学校レスリング部の皆さんによるサポートのおかげで無事に開催することができました。レスリングの練習には欠かせないマットの準備、会場設営等から、当日はキッズへの指導も行なっていただきました。今回のDKC開催にあたり多大なるご尽力をいただいております各社の皆様、地元のボランティアの皆様、関係者の皆様にはこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。

また、この日のDKCにはスペシャルゲストとしてレスリングの世界選手権でグレコローマン63キロ級で優勝した太田忍選手がゲストとして登場しました。DKCには開始前には、山形商業、盛岡工業のレスリング部員たちに特別にレスリングテクニックのセミナーが行なわれました。世界王者から直々にテクニックを教わる貴重な機会ということで、高校生たちも目を輝かせながら聞き入っていたのが印象的です。セミナーの後には、チャンピオンベルトとメダルを持った太田選手との記念撮影も行なわれました。

この鹿島台は高田延彦先生のお母様の生地ということで、「車の中懐かしい景色を探しながら、ずーっと写真と動画を撮ってました」と向井亜紀先生が笑うほど、高田先生にとっては思い入れの深い土地です。ゆかりの土地ということで、地元の受け入れ態勢もバッチリで、大崎市の伊藤康志市長、市のゆるキャラ・パタ崎さんも駆けつけてご挨拶をしていただきました。「さあ、元気よくやろうぜ」という高田先生の掛け声とともに、会場全体で大崎市歌を合唱しました。

この日のDKCは小学校1年生~6年生まで幅広く参加してくださいました。「ちっちゃい子たちはお兄さん・お姉さんに憧れながら、お兄ちゃん・お姉ちゃんはちっちゃい子たちのお手本になるように」と向井先生は呼びかけました。

レスリングをやったことがないという子がほとんどだが、「レスリングは未経験でもOK。上手にできなくても大丈夫。初めてでどこまで自分が頑張れるかを確かめてみてくださいね。それには自分の本気を出してください」と優しく語りかけます。太田忍選手もキッズを前に金メダルとベルトを持って「皆さんこんにちは。今日はお父さん、お母さんに無理やり連れてこられた子もいるみたいですけど(笑)、マットの上は柔らかくてすごく楽しいと思うので、ヘトヘトになるまで怪我のないように楽しんでください」と挨拶しました。

「ここまで102回のDKCをやってきました。そのすべてがやってよかったというイベントでした。その積み重ねでここまでやってきました。主役は子どもたちです! 来なきゃよかったなと思わせない、マイナスの気持ちで帰ってほしくないと思います」高田先生の真剣な眼差しにキッズたちも話を聞き入っています。

「大きな声で挨拶をしよう」「下手くそでもいいから全力でやる。人との競争じゃない、自分の精一杯を出そう」高田先生がキッズたちとDKCをの大事な約束をして、「今日のイベントに目標を作りましょう。黄色いシャツの先生に試合をしてもらいます」とこの日のメインイベントが伝えられました。

イベント直後は引っ込み思案の子が多いのか、最初は返事の声も小さく、運動も全力がなかなか出せない場面もありましたが、果たして3時間後にはどう変化しているでしょうか?

最初は向井先生考案のおそうじ体操で体を動かして温めます。体操やストレッチでウォーミングアップしていくので怪我の予防にも役立ちます。

マットの上を裸足でダッシュ、雑巾がけ、カエル跳びと全力で走ったり跳んだりする種目が続きます。スタートの前には「次の人~!」と呼ばれたときに「はーい!」と大きな声で返事をします。全力を出して体を動かすことで、この後のトレーニングへ向けて体の準備は完了。

ここで水分補給の休憩です。DKCからキッズ一人に1本ずつスポーツドリンクがプレゼントされます。のどが渇いた頃にはすでに体内の水分は失われていると言われていますが、そうなる前の事前の水分補給をDKCでは推奨・実践しています。

ここからは2人1組での運動です。伸ばした手の先と足の爪先にタッチするスクワットは、ヒザを曲げて足の筋肉を意識して行ないます。大きく開いた股の下をくぐる8の字くぐりでは俊敏性が養われます。交互にジャンプする運動では、ヘトヘトになるまで全身の筋肉を使います。「手を天井につけるつもりで高くジャンプします!」と高田先生の号令が飛ぶので、手を抜いているキッズは一人もいません。

そして、これらの運動の後には「ヤッター! イェーイ!」とお互いの健闘を称え合うようにハイタッチも行ないます。これによって恥ずかしさを克服し、自分の殻を破って、さらに高いパフォーマンスを自分で引き出すことができるようになるのです。今回のDKCがMC初体験となる松本桂先生と、山形商業出身の中野先生が、羞恥心を克服した見事なお手本を披露してくれました。

そして、タオルを使った綱引きが行われます。これは大人の先生にキッズが挑むかたちで行なわれる練習で、DKCの中でも一、二を争う人気種目です。とにかく全員の先生に勝ちたいキッズたちが、次々といろんな先生に全力で綱引きを挑みます。終わる頃には大人の先生はグッタリするほど消耗しています。元気なキッズの相手をするのは、大人でも楽ではないのです。

もう一度、水分補給を挟んで、ここからはレスリングの練習です。正しい構えを体に覚え込ませてから、タックルの練習に移ります。自分のほっぺたを相手の腰につけて、膝の裏をハグ。胸で体当たりしたら、ダッシュします。

高田先生もキッズたちのタックルを見ながら「しっかり体当りして引きつけていきましょう。もっと強く!」と声をかけます。構えで悩むキッズには「自分の構えを作ればいい」と優しく声をかけていきます。

この日のクライマックスは一番最初に約束したようにキッズたちとの試合になります。タックルで倒した相手の肩を1秒間マットにつければ勝ちとなるのは、レスリングの国際ルールと同様です。

世界王者の太田忍選手もキッズたちの試合に胸を貸してくださいました。「ほら、世界チャンピオンが来たぞ! こんな機会はないよー」と高田先生が声をかけ、次々と太田選手に挑んでいくキッズたち。太田選手も「倒せ、倒せ! 背中つけるまでだぞ!」とタックルを受けながらキッズたちを励まします。キッズたちが楽しんで笑顔でレスリングできるよう、工夫しながらの指導は、さすが世界王者です。

高田先生もキッズの挑戦を受けました。タックルを受けても簡単には倒れません。逆にキッズたちを倒して、何度でも立ち上がって挑んでくるように仕向けるのが高田先生流。大きな体に突っ込んでいくだけでも怖いはずのキッズたちですが勇気を振り絞って立ち向かう姿が印象的でした。

終わってみると、自分のグループの大人の先生を全員倒したキッズたちが大多数でした。最初は声も小さく、引っ込み思案だったキッズたちが、自分から大人に立ち向かっていく姿は、まるで別人のようです。

イベント終了後、高田先生と向井先生がキッズたちに感想を聞きました。みんなの前でマイクを通して発表するのは、きっと勇気がいるはずですが、それでもこんな感想が聞けました。

「先生と綱引きして、負けたけど楽しかった」
「みんなと練習できて楽しかったです」
「友達ができてよかった」
「1年生の頃から来ていて、強い体と強い心を育むことができてめっちゃ嬉しいです」
「先生が意外と強かった」
「先生がみんな強くかったけど負けなかったので嬉しかったです」
「タックルをやって凄く楽しかったです!」

キッズを指導していた高校生の先生も、最後は充実した笑顔でこんな感想を語ってくれました。

「みんな楽しそうにやっていたし、普段教わる側の僕たちが教えることができて、とても楽しかったです」

高田先生と向井先生は、この言葉を聞いて、満足そうに笑顔を浮かべ、「ヤッター! イェーイ!」とハイタッチをしていました。

「間違いなくまたこの街にやってくるので、興味がある子はまた参加してください」

高田先生はキッズたちと再会の約束をしてこのイベントを締めくくりました。