イベントレポート

DIAMOND KIDS COLLEGE - ダイヤモンド・キッズ・カレッジ

2018年03月16日

2018年スタート!!『第89回DKCinさいたま』

【日時】2018年1月20日(日)
《小学校3年生~6年生のクラス》9:30~12:30
《小学校1年生~2年生のクラス》14:00~17:00
【場所】埼玉・さいたま市立桜木小学校
【参加人数】
《小学校3年生~6年生のクラス》78人
《小学校1年生~2年生のクラス》73人

高田道場が主催する第89回目のダイヤモンドキッズカレッジ(DKC)は、埼玉県で11回目、桜木小学校では6回目の開催となりました。今回も野口篤史監督率いる名門・埼玉栄中学・高等学校レスリング部による手厚いサポートをいただき、会場設営からキッズへのレスリング指導までお手伝いをいただき、無事に開催することができました。

レスリングを通じて小学生たちのやる気を引き出して身体を動かす楽しさを教えるというミッションは、決して簡単なことではありませんが、埼玉栄レスリング部の皆さんは周囲に気を配りながら、ケガをしないように安全に、それでいて全力で楽しめるように、常に考えながら指導をしていただきました。

また、前週に降った大雪で最寄り駅から会場までは雪が多く積もり、会場となった体育館に続く階段には朝の時点で雪が溶けて固まった氷でツルツルに滑ってしまう状況でした。コーチを務める埼玉栄レスリング部のメンバーの父母の皆様のご協力により、朝7時から始まった準備では、氷のかたまりをスコップで砕いて取り除くという大変な作業をお手伝いいただきました。あらためまして、埼玉栄中学・高等学校レスリング部のチーム一丸となったサポートに感謝を申しあげます。

また、DKC開催にあたり多大なるご尽力をいただいております各社の皆様、関係者の皆様にはこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。

この日は高校レスリングで東京都1位という実績を誇るお笑い芸人、森一弥(浅井企画)先生も参加してくださいました。「埼玉栄は高校時代、ライバルでした。僕勝ってましたけど(笑)。いまは(栄が)強いですけどね!」と自己紹介。当時のライバルが20年以上の時を経て、こうしてキッズたちに一緒にレスリングを教える立場になっているというのは感慨深いです。

会場の体育館にはストーブも設置されましたが、寒波襲来の影響により底冷えのする中でイベントスタート。高田延彦先生からは「過去に例のないくらいインフルエンザが流行っている中、寒いのに集まってくれたんだから、来てよかったな、また来たいなと思って帰れるようにいい時間を作ろうよ」と呼びかけました。

まずは向井亜紀先生が考案したおそうじ体操で身体を温めます。家庭で行うおそうじの動きを取り入れた体操で、窓を開けたり、ほうきで掃きそうじをしたりする動きを取り入れています。極寒の体育館の温度が少し上がり始めます。

続いて、高田先生から「力いっぱい走ろう」と呼びかけてダッシュの練習です。さらに「これをやると徒競走が早くなる」と体幹を鍛える雑巾がけの練習。しゃがんだ状態から高く跳んで前に進むカエルジャンプも行ないます。「いいぞ、いいぞ!」「ガンバレ!」という掛け声を受けながら、キッズたちは下半身を鍛えていきます。

みんなのお手本となるような動きをしているキッズは全員の前で運動を披露してもらい、自信を育むように指導を行っています。また、大人たちにも運動をやってもらい、キッズたちがいかにハードなことをやっているのかを体感してもらう場面もあります。向井先生は「今日はお家に帰っても『なんであんなことができなかったの?』と子供たちを叱るのはなしです。大人ができないことをやっているんですから、お家に帰ったらいっぱい褒めてあげてくださいね」と父兄との約束をかわします。身体と同じく、キッズたちの心にある小さな自信を育てるのも大事なこと。DKCでは心の成長も重視しているのです。

DKCは回数を重ねるごとに効率化が図られ、短時間でみっちりと練習が詰め込まれるようになりました。すでにここまでの時点で小学校の体育の授業よりも負荷のかかった練習を行っています。水分補給の休憩時間が取られ、ここでは500mlのスポーツドリンクが一人一本ずつ配布されます。トイレ休憩の時間でもあるのですが、キッズたちは我先にと走って戻ってきます。すでに気分がノッてきて練習に前のめりで取り組めている印象です。

ここからは2人一組の練習がスタート。高く掲げた手とつま先に交互にタッチするスクワット運動などで激しく身体を動かした後に「ヤッター!」「イェーイ!」とハイタッチをかわします。高田先生は「サッカーでもゴールを決めた後はみんなで喜ぶでしょ? 喜びも苦しみもみんなで一緒にわかちあおう」と呼びかけます。向井先生も「恥ずかしがらずに! 自分に勝ってくださいね」と大きな動きでやるように指導します。

サイドステップやしゃがんだ状態から交互にジャンプする運動で、大きく身体を動かしたキッズたちは「ヤッター! イェーイ!」でタッチした直後に倒れ込んでしまうほどヘロヘロに。

さらにこの状態からタオルを大人と1対1でタオルを使った綱引きを行ないました。これはレスリングに必要な引く力を鍛えるものです。高田先生と向井先生のデモンストレーションで重心を低く引っ張るようにレクチャーし、「自分の中にある力を全部タオルに集中させる!」と意識の持ち方を高田先生がわかりやすく説明します。高田先生はキッズたちを相手に綱引き勝負も行ない、ビクともしない高田先生ですがキッズたちは懸命に挑んでいく姿が印象的でした。

再び休憩を挟んでここからはレスリングの練習です。

レスリングの正しい構えを教わったら、タックルの入り方を教わります。相手の腰にほっぺたを当てて、膝の裏に手を回してハグ、最後は胸のところで体当たりです。腰や尻に手を回してしまうキッズがいると、高田先生からは「ヒザの後ろにしっかり手を回す!」と指導が入ります。単なる体験ではなく、レスリングを正しく学べるのがDKCのいいところ。先生たちの指導のおかげでキッズたちの吸収も非常に早く、あっという間にレベルアップしていきます。

この日のメインイベントとして、相手の両肩を1秒間マットにつければフォール勝ちとなるルールで先生たちとキッズたちの試合が行なわれました。実際のレスリングと同じルールで身体が何倍も大きい先生たちに挑むキッズたちですが、倒されまいと踏ん張る先生たちをなんとか倒して押さえ込もうとしています。

おっかなびっくりだった最初は勇気を振り絞ってぶつかっていき、やがて何度も先生と試合をしていくうちに頭を使って先生に勝とうと工夫を重ねていきます。キッズたちのやる気を引き出す先生たちの指導もじつに見事でした。「このまんまあと1時間でもやれそうですね」と向井先生も驚くほどのやる気を見せてくれた埼玉のキッズたち。全員が先生との試合に勝つことができました。

最後は1分間、全力運動で身体を動かすサーキットトレーニングで体力を最後の一滴まで絞り取ってDKCのすべてのメニューが終了しました。

整理体操後の最後の挨拶で向井先生はキッズたちにこう語りかけています。

「最後の試合を待っている時は待ちきれなくてジャンプしてたね(笑)。積極的な気持ちを出してくれました。今日はみんなは凄いことをしたんだよ。レスリングの才能もあるし、自分を信じて頑張る才能もあるし、未来のことを想像してその通りに身体を動かす才能も発揮してくれました。今日、自信が増えた人は手を挙げて(大勢が挙手)。ありがとう。強くなったパワーを弱い者いじめに使うのではなく、優しい気持ちで使ってくださいね」

高田先生も埼玉のキッズたちの反応に手応えを感じており「もっとやりたかった? おじさんたちももっとやりたかったよ。楽しかったけど、ここでおしまいになります。また来年もここでやるからね」と名残惜しそうに締めの挨拶を行ないました。

高田先生から「この場所で何か言いたいことがある子はいる?」と呼びかけると、キッズたちは少しずつ手を挙げて、自分の思いを語り始めます。

「自分が強くなって嬉しいです」
「怖かったけど全力でやったら勝ててよかったです」
「練習し足りなかったです」
「(6年生で)DKCに参加できるのは最後なんですけど、レスリングをもっとやりたいと思いました」
「ここに来た時は自信がなかったんですけど、練習をして自信が沸いてきました」
「最初はできなかったけど3時間練習したら楽しかった」
「3時間じゃなくて3時間半くらいやりたかった」
「初めてやったスポーツだったけど短く感じて楽しかったです」

高田先生はキッズたちの集中力を引き出してくれた埼玉栄レスリング部の皆さんを「完璧だよ。ありがとうございました」と絶賛。「普段、彼らは中学生、高校生ですよ。それなのに子供たちにこんなに楽しい時間を提供してくれる。こんなことできないですよ?」とキッズたちの父母に熱く語りかけると、場内からは感謝の拍手が送られました。

埼玉栄からは高田道場出身の中学生・五十嵐君が挨拶に立ち「皆さんの元気を見て、自分たちも楽しくDKCができました。皆さんの元気のおかげであらためてレスリングの楽しさを感じたので、明日からの練習もしっかりと頑張っていきたいと思うので、皆さんも頑張ってください」と語りかけ感動的な空気で締めくくりました。

なお、渥見祥先生が高田道場福岡を退職されることになり、今回が最後のレギュラー参加となりました。またタイミングが合えば参加していただけるとのことで、どこかで再会できる日を楽しみにしていたいと思います。長い間、本当におつかれさまでした。

次回のDKCは5月13日、宮城県大崎市で開催します。